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口蹄疫 宮崎の現状 

川南の酪農家、ムッチーさんのご友人の日記の転載です
養豚場での殺処分の様子が書かれています
現場はまさに戦場…

その場にいなければならない農家の人、
手を下さなければならない獣医師、県職員…
頭で仕方ないことだと理解しようとしても受け入れがたいでしょう

つらい内容ですが、これが、いま宮崎で実際に行われていることなんですよね、
毎日…

******************


(以前転載させていただいたのは殺処分の様子だけですが 
前の話から繋げてまとめてあるものに変更させていただきました)



「殺処分」と簡単に言うけど・・・


 5月9日、とある養豚農場で働く友人に会うことができ話を伺うことが出来た。
(もちろん、お互いに防疫対策を施したうえでだ)

口蹄疫感染の疑いが出て全頭処分が決定した農場である


彼は本当に豚さん達と真剣に向き合って肥育していて、口蹄疫問題が起きる前までは、いつも面白おかしく豚舎での話を聞かせてくれていた。




ちょっと巻き毛の母豚がいてな…俺には懐いてくれちょっちゃけどよ。

一度マジ切れしてさ、思いっきり拳で殴ったら、自分の手は怪我したのに母豚は平然としやがってよ「ちくしょーー!(笑)」

ただ、こいつがさ、なかなか上手に水を飲めないやつでな、いっつも俺が飲ましてやっててさ、時々、俺のひざに頭をのっけて休むんよ(笑)200kgもある母豚やかい、頭だけでも重いっつどぉ(笑)。


ただなぁ、こいつになかなか子供が授からんでなぁ、何度も仕込ませてみたんやけど…
なんでかこいつだけ子供ができんかったっちゃわぁ。


「お前どうしたっかぁ。ごめんなぁ俺が悪いんかもなぁ。女の幸せをあじあわせてやれんなぁ。子供産んでみたいやろう。次こそ頑張ろうなぁ。」言って、首に抱きついてあげたりしてたんだわ


でもよ!

先月ついに受胎したことが分かってな。「やったーやったー!よう頑張った!!!やっとお前も赤ちゃんが産めるな(^^)」って喜んでその母豚カードにでっかく「成功」!って書いたばっかりやったのによ



・・・・もう殺さにゃいかんとよ。


自分の赤ちゃんを産ませてあげられんやないかい!!


どうすっとかい! 



・・・・ごめんなぁ。言うしかなかった



せめて今だけは、腹いっぱいエサ食えよ。って大量に準備してあげてるっちゃが。



感染した子豚たちの蹄からは出血が始まり、上手に歩けなくなってビービー泣いている
母豚は乳首のところがただれ始めて真っ赤になって血を流しているのもいる。それでもむしゃむしゃエサ食うやつは食うんよ。

また、明日そいつらの所に行って、声かけてあげにゃいかんちゃろうけどよ。どんな顔して、なんて声かければいいっかえ!」





と、語ってくれた。


数千頭の豚を養っているこの農場では、この時はまだ埋め立て地が決まらず殺処分はされていなかった。



そういや、彼が私に語りはじめた時、最初に言った言葉は「あ~・・・終わった。肩の力が抜けて楽になれた気がするよ・・・」だった。
どんだけ気を張り詰めた生活を送ってきたんだろう


防疫のための消毒活動を徹底的にやっていた彼。
自分の車の中まで消毒液を振りまいていた彼。
毎日毎日石灰を道路に撒いていた彼。。。

必死に目に見えない時と戦い、守ろうとしてきた家族を失う彼。


「やれるだけやって出てしまったもんは仕方ない。はっきりしたことは、来月から俺は職を失うってことだ。ただ、急いで処分をしないと、他の農場に迷惑かけちゃうな。」


お腹に赤ちゃんを宿した母豚にすがり泣く彼のことを思うといたたまれないのですが、その感染を確認した豚舎では日に日に症状を示す豚が増えてきて、エサが食べられなくなったり、亡くなったりしてきて、豚舎内が消石灰をかけられた死体置き場へと変わっていき、腐敗していく。


5月6日に口蹄疫感染疑いが発表された養豚場。その時点で全頭処分が決定していたわけですが、埋設処理が始まったのは・・・5月14日です。すでに8日が過ぎています。ここまでの数日間、彼はどんな光景を見てきたのだろうか。どんな思いで、豚舎を見て回っていたのだろう。。。



殺処分の様子は、本当に地獄絵図のようだった。


獣医さん達が来て、一頭一頭、注射で眠らせてその後に、さらに注射で安楽死させると思っていた。

この養豚農場には、人間よりも大きな母豚が数百頭、青年豚がさらに多く、子豚が数千頭

口蹄疫の症状の出ていないまだ元気な豚もたくさん居る





「何十人と獣医師が来たけどよ。かき集められた経験の浅い獣医師たちは、母豚を怖がってまともに注射も打てんちゃが

急所は首筋の血管なのによ、柵の外から身を乗り出して、お尻に打とうとするわ、バカじゃねーか!豚だって生きちょっし痛いから、ひょいとお尻を動かして逃げるわな。

しょうがねーかいよ、俺が柵に入って豚の首をガシって押さえつけてやる始末。
危険やっちゃけど仕方ないわ


首筋に注射を打つやり方を教えたっちゃけど、ダメじゃわ・・・

もう、豚の首は、突き刺した注射のあとだらけ、痛々しいわ。豚はギャーギャー暴れるわ


ちくしょーーちくしょーーー!もっと安らかに死なせてやってくれよ。

獣医師の免許をもっちょる奴しか、殺したらいかんかいよ。手がだせん・・・

かわいそうでよ


もちろん、ベテランの奴は上手いし、早くてよ関心するんよ。


でもな、みんな目に涙を浮かべながらも作業してくれてるし、手を合わせてくれる人もいる。


命を救うための獣医師がよ。
今まで、命を助けるために、動物に声をかけ、一生懸命働いてきた獣医師がよ・・・

この注射を打ったら、こいつが死ぬって分かりながら、注射を打ちこむんよ。
そりゃあ、人としてつらいし、心が痛いわなぁ。歯を食いしばるしかないのかよ!



俺はさ、もともと出荷のための豚なら、なんとかあきらめがつくんよ。出荷だと思えばいいちゃかい。

でも、母豚はよ。俺がこの農場に努めだしてからずっと面倒見てきたっと、性格もよく分かる。顔見りゃ名前も、出産した回数も、病気した時、エサを腹いっぱい食って喜んだ時。悪ん坊や、甘えん坊、気性の荒い奴、優しい奴、み~んな分かる。共に生活してきた家族やっちゃかい。


口蹄疫に感染してしまって痛々しい症状が出てる奴は、鼻や口の水疱が破けて痛いもんやからエサが食えんなっちょる。それでも腹はへるかい、えさを探すわな。豚は鼻が命じゃ。人間で言う手のようなもんで物を探るのは鼻で探るんよ。

痛いやろうに・・・

まともにエサが食えんかい。俺が手で食べさせてやってた。

鼻も口元も、蹄も乳首も痛々しいのに、俺を見つめる目はやさしくてよ。なんだか、向こうがごめんよ~言ってるみたいや。ありがとう言ってるのかなぁ


注射打たれる姿に耐えられんで離れたところから見てたら、獣医師の腕をふりほどいて、こっちに走ってくっとよ。

ひずめが炎症起こして血を流してるもんは、痛いから立ち上がれんでずっと横になってギャーギャー言ってる。でも、立ち上がらせて殺処分するところまで連れて行かんと、重いかいよ。まず鎮痛剤打つっちゃわ。

したら、痛みが取れるもんじゃかい。ひょいっと立ち上がる。でも蹄からも血が出て、腐りよっかい


蹄が取れていくとど・・・赤くなった蹄だけが地面に転がってるんやど・・・

それでも、蹄が無くなった足で、俺の所に駆け寄ってくる


はやくなんとかしちゃれよーーーー!



ある程度の大きさの奴は、電気で殺すっちゃわぁ

でっかい火ばさみみたいな物で、まず頭を挟んでな、スイッチを入れると高圧電流が流れ、失神する。
そしてそのあとに、胸の所を挟んで、心臓に電流を流すとガタガタガタとしびれて心臓を止めて殺すとど・・・かわいそうやんけ。

さっきまで、元気で、震えて泣きよったやつが。突然静かに死体となるんよ。


たださ、時々、その動かなくなった豚を運んでたり、穴の中に落とした時に、生き返って動き出すやつがおるんよ。気絶してただけなんやろうな。哀れでなぁ、また殺さにゃいかん・・・。




まだまだ元気な奴らはさ、どんどん穴ん中に落としていく、みんなで板を使って追いやって穴に落としていく。

一番下に落とされた豚たちは、熱と重さで圧死ししていくけどよ。後から後から落とされた豚は、どんどんジャンプして穴から必死に飛び出ようとするんよ。

その生きようとする動物の必死さにまた泣けてくっちゃがぁ


その上からブルーシートをかぶせてよ、コンパネの板を上において、飛び出してこんように、俺たち人間が上に乗るっちゃわぁ・・・

それでん、下から・・ドンっ!ドンっ!て必死にぶつかってくっとよ。


ブルーシートの隙間からホースを入れて、中にガスを流し込むんよ・・・

すると、だんだん静かになってきてよ、しばらくするとシーンとなるんよ

ちくしょーーーーーーー!



作業員達があちこちで、殺処分をしていってる
地獄を描いてる絵があるわぁ。鬼が人間をいたぶっている絵よ。あのまんまって感じ


豚舎の中が、ギャーギャーって今まで聞いた事もないような泣き声があちこちから聞こえるかいよ。

赤ちゃん子豚が不安な様子でジッとしちょっちゃわ。


病気に感染した奴は、蹄から血を流して痛いし、おっぱいが飲めんかい
コロっコロっ死んでいく。


それでも、豚舎が違ってたりで感染していない元気な奴もいっぱいおる。


敷地が一緒やかいて、経営者が一緒だってだけで


殺さにゃいかんとか・・・

本当に、この子達も殺さにゃいかんとか!


・・・


周りの異常な雰囲気を感じちょっちゃろうね

ひょいっと両手で掴み上げるわ

すると、身体をグッと堅くして、不安げに身体をブルブル震えてるのが手のひらから伝わってくるとよ。


ごめんなぁ、ごめんなぁ。俺が泣き出してよぉ

その身体に注射針が刺されて、静かに、ぐったりと手の中で重みだけを感じる物体になる
さっきまで硬かった子豚の力が抜けて、何の力も入らない柔らかい物になるんよ。


もうどんだけの涙が流れ出たかわからん


あと、残ってた豚舎は、ウィンドレスの豚舎じゃかい・・・


せめて、安らかにと思うてかいよ

帰ってくる時・・・空気を送り込むファンのスイッチを切ってきた。




家に帰ってよ。風呂に入ってよ。飯はよう食わんかい。焼酎飲みながらテレビをみてるとよ


俺・・・いつのまにかボロボロボロ泣いてるっちゃわ


今頃、眠るように死んでってるんだろうなぁ・・・・。


お前よ。豚は言葉がしゃべれんけんどよ。もしもよ、お前の子供をよ、「なんで?」って言われながらよ。国からの指示やかい言うて・・・大好きなのに・・・手の中で殺せるか。」





まだ、口蹄疫の感染拡大は収まらない

今もまだ、毎日毎日、牛や豚が殺処分されていく

そして全ての農家で、こんな味わいたくもない体験を味わってる

なぜ、農場主や従業員が、中に入って一緒に処分しないといけないのか


せめて、優秀な獣医師や、テキパキ動ける自衛隊員をもっともっと送り込んでくれよ!



地獄絵図と書いたが、中にいたのは鬼なんかじゃなく、愛情に溢れた人々でした。

全国にはたくさんの農家がある。

あまり消費者の目に届くことはないところで、私たちが安心して安全なものを食べていけるよう。精魂込めて接してきている人達がいる。私たちは彼らなしには美味しいものを食べることが出来ないのです。

農家の方々の愛情をいただいて生かされているようなもんなんですよね。


こんな時だからこそ、いつもより町内で買い物します。
こんな時だからこそ、宮崎産という文字が愛おしいです。
是非、みなさんも自分の地元で地産地消を心がけていただきたいものです。




発生から今日で1ヶ月が過ぎました。

そして、今、131軒、11万8164頭の生き物の殺処分が言い渡されました。


これ以上の被害農家を出さないためにも、今、元気で生きている牛や豚の為にも

自分自身の意識を高くして、「徹底消毒」にご協力ください!!!



※私が伝えたい事は、現場の悲惨さはありますが、今まで家畜と共に生活してきた農家の方々の愛情を知って欲しいと思い、彼の言葉で書く事にしました。
決して、政府批判でもなく、対応の悪さについて言及するものではありません
転載されるのは構いませんが、間違った方向にもっていかず
私たちと同じく、何気ない生活を楽しんできた農家の方々の愛情をお伝えくださいませ




【募金・支援金案内】
上記のムッチーさんが募金活動も行っております。
ご協力できる方がいらっしゃったら是非お願いします。
[郵便局]
川南町のムッチー牧場
口蹄疫災害見舞金を募る会
(記号)17310
(番号)3609971
カワミナミチョウノムッチーボクジョウコウテイエキサイガイ
ミマイキンヲツノルカイ
by biker-vet | 2010-05-19 20:28 | 獣医師


falconer歴約10年。ハヤブサ・鷹などの猛禽類のfalconryトレーニング、病気・健康管理、野生動物(主に猛禽類)の治療やリハビリのことなど。STOOPERの猛禽用グローブ・フードも紹介しています。http://www.stooper.jp


by biker-vet

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